業界初!技術系コラム
題してBBDの「いまさら聞けない技術講座」
2001.08.25
な〜んと8月も、もうおしまいっすかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
秋がやってくるんな?まだ暑いけど...
食欲の秋...またきたっす。 本領発揮!
結構、不定期更新になっちゃいましたが、録音関係がふん詰まりで、
身動き取れなかったせいなので、まあ、許してちょ...
その分来月は沢山書くぞ〜〜なんていうとまたドツボにはまるから、
今のは聞かなかった事にしてネ!
まだ、冷房キンキンにしてる奴は誰だ!(俺だけど)
「今更聞けない技術の話」だぁぁぁ!
AI見に行くぞ〜って、宮田愛の「AI」じゃないぞ。(映画の話)
って先月かいたけどまだ行ってません...9/20迄じゃ!行かなきゃ!
(ちょっとキューブリックファンなBBD、えっ違う監督なの!?)
こいつのせいでテンテコ舞!...
オテンバ(一応、女の子なんで)にも程があるって感じで、日中に
かまってもらえないせいか、晩飯の時とかめっちゃくっちゃ悪い事をする。
食べ物は殆どなんでも口に入れてしまうので、食卓はいつでも
緊張感が走っていて、しつけなきゃいかんと、怒っても本人は知らん振り。
完全にナメられている状態で、いう事なんか全然聞いてくれません。
何故か果物が好きで、ここ一週間でやられたブツの数々は、
ナシ・りんご・メロン・マスカット・桃、などなどで嘗め回した挙げ句、
おもちゃにして転がして、最後はソファーの下に潜り込んでしまい
諦める...というパターンで、現場からは枝豆のミイラ・
腐りかけたマスカット一粒・食いちぎられたティッシュ・
ボロボロになったヌイグルミ...などが発見されました。
さてさて、近況ついでに録音の話。
現在、朗読のCDを作成中。この録音に2週間くらい没頭しておりました。
前にも書いた、キンパチ先生などでご存知の金田明夫さんが
当事務所の看板CDシリーズの元祖になった
「円こどもステージ『…あらしのよるに』
作:木村裕一」
原作の絵本を、楽しく朗読する企画です。 ここ参照
金田さんは、テレビでもお馴染みなばかりでなく、
円所属の立派な舞台俳優で、その演技力には定評があり、
またそのトークには魅了されてしまう同業の俳優さんも多数。
そしてこの「…あらしのよるに」初演時には主役でご出演!
この時の舞台は数々の賞に輝き特に厚生大臣賞を
いただいたのはなかなか凄かった!
今回、演出の小森美巳さん (ここ参照)
は勿論、小森音楽事務所所属
ですが実は代表取締役で私なんか部下(というより、小間使い!?)
でありまして、悪口書けないんで一応良い事ばかり書きますが、あの
「おかあさんといっしょ」の初代プロデューサー(ってことはNHKのOG)
で、
後に岸田今日子さんと仲谷昇さんの主催する「演劇集団・円」の演出部に
所属して、数々の子供向けの舞台をプロデュースしてきた人です。
今回、録音を担当させていただいて何しろ"もの凄かった"のが、
スタジオの雰囲気で...とにかく入ったら最後、腹筋が痛くなるまで
笑わされて、もう死にそう...って感じでした。本当に今でも痛い...
近々、部分的にも公開いたしますので、お楽しみに!
朗読といえば、最近は「金子みすゞ」
さんにまつわる、
企画やテレビ番組など非常に多く流れていて、
おかげさまで上記のCDと同じく朗読CDを4年ほど前に同事務所で
作らせていただいた物が好評で、レコード会社の関係もあり
残り十数枚で完売になってしまうほどの勢いです。
そのCDは同じく演劇集団・円所属の、これまたお馴染み
橋爪功さんがナレーションを担当し、同じく円の高橋理恵子さんが
朗読の他、唄も歌っております。非常に素朴に、
「金子みすゞ」の世界 を表現しておりますので、
音楽業界もCDの販売などに関しては、来る所まで来たという感じで、
こういう朗読モノが次に流れになってくるのでは...
などと自分に都合よく、業界展望を語っておりますが、
次回のこのCDができたら是非、聞いてみてください。
「ひとり語り」っていうのは新しいスタイルになるような気がします。
なにはともあれ、映画・演劇・音楽...どれをとっても一番重要
なのは、その中に流れているお話で、企画・脚本・演出...これが
しっかりしていないと、出来上がった物に偏りが出来てしまうでしょう。
音楽、特にポップスにおいては企画・脚本・演出...
っていうのは作詞・作曲・アレンジ...かな!?ちょっと違う?
まあ僕たちの場合には、作詞の前に題材を吟味する会議みたいな物が
あって、そこから詞を愛ちゃんに作ってもらいますが、作曲が先に
出来る場合もあるので、前者とは多少違いますが。
さてさて、やっと本題に入って...え〜と今回は何?...
あっ、そうか!「アナログとデジタル」 の2回目ですね。
前回は...え〜っと、
「デジタルとアナログは"Digital"と"Analog"ですが
どういう意味と聞かれてすぐに完璧に答えられれば、
それだけで一生食えるっていう位に意味の奥が深い。」
な〜んて感じでしたね。
では、行ってみましょう。
前回の復讐...もといっ!...復習!
デジタルっていうのは離散的っていうのが本来の意味で、
アナログっていうのはこれに対して連続的っていう意味です。
想像していたのとは少し違うかも知れませんが、
これが本来の出発点です。...
そんな事書きましたね。
正確には実はちょっと違っていて、アナログ:analog は analogue
と
いうのが語源だそうで、本来の意味は"類似品"とか"相似物"...
つまり似ている、近しいなんていうのが語源だそうですが、
考える所では「時系列において変化量が類似値・近似値を示す」
なんていう説明の中に似たような言葉を見つける事が出来ますね。
つまり、変化が一足跳びではなく連続的だということかな!?
かなり曖昧ですが...
かまわず次行ってみましょう。
反対のデジタル:digital はもう少しはっきりしています。
この語源は digit だそうで、これは辞書にもある通り"指"
のこと。古代の人が数を数えるのに(現代人でもそうしますね)
指を使った事に始まるそうで、今ではアラビア数字の0〜9のことを
こう呼んでいます。まさにこれがデジタルそのものなんですが、
現代では技術が進んでこういう言葉の応用も多岐に渡っていて、
つまり数えるっていう行為そのものをデジタルと言っても
良いかもしれません。あくまでも原理的な部分でですが。
0〜9まで数えなさいって言う時に、2.5とか3.6とか8.999とか
普通数えないでしょ。これがデジタル。アナログは0〜9までが
折れ線グラフのように繋がっていて、つまりこの線のどこかに
2.5とか3.6とか8.999が隠れているって事です。
これを音楽に置き換えてしまいましょう。
例えばヴァイオリンを弾いて、スラーかグリスか判りませんが、
ラの音からオクターブ高いラの音まで続けて出したとします。
それをレコードとMDに録音して再生してみます。
この時、例えば周波数は440Hzから880Hzだったとします。
このうち、525Hzの音をこの録音物から取り出したいと思った時、
レコードにはこの音が絶対に存在しますが、MDには運が良ければ
入っていますが、入っていない可能性もあるのです。
私は何が言いたいのでしょう!?
前回、折れ線グラフと棒グラフを例に出しましたが、まさにそれです。
例えば、同じ変化量のデータを、折れ線グラフと
棒グラフであらわしたとします。
アナログは折れ線グラフなので、連続してAからBに数値が変化した場合、
その変化が曲線でも直線でも、どんなに距離が長くても、
AからBの間で任意の数値は必ずどこかに存在します。
しかし、デジタル、つまり棒グラフでは、「こことここの間に、
その数値が存在する」と推定は出来ても、
正確な位置を特定する事は難しい筈です。
ここまで書くと、「なんかアナログの方がデジタルより優れている
んじゃない!?」と思うかもしれませんが、まあ焦らない...
次にさっきの棒グラフをもう一度考えてみてください。
横の軸(普通はX軸と呼ぶんですかね)の変化単位は時間とします。
さっきのグラフは横の軸を1分毎に量った為に、少し粗いグラフに
なっていましたが、次のグラフは30秒毎に量ってみました。
おやおや、少し折れ線グラフに近づいてきました。
さらに今度は10秒毎で量ってみると...
次は5秒・3秒・1秒・0.5秒・0.1秒・0.01秒・0.0001秒...
どんどん計測された点の集まりが線に近くなってきて、
気がつけばさっき折れ線で書いたグラフと
見分けがつかなくなってしまいました。
レコードなどアナログの音のデータをデジタル化する時は、
これと同じ事をします。
瞬間の音の波形をデータにして、取込みますがこの時、
1分おきに取込んでも音楽には聞こえないでしょう。
ですから次第に取り込む間隔を短くしていって
0.1秒おき、0.001秒おき...というふうに
短時間に何回も瞬間のデータを取込んで記録します。
このデータを人間が聞いて判るように、
元の波形のデータに戻し、これを音として再生します。
つまりDA変換" Digital to Analog Transfer"するのです。
この、アナログ波形をデータにする作業を
サンプリング: Sampling といいます。
どこかで聞いた事あるでしょう。
正確にはデジタル化の3つの基本
「標本化:サンプリング」、「量子化:クォンタイジング」、「符号化:コーディング」
(Sampling・Quantizing・Cording)の一つ目に当たるのが
このサンプリングで、データの波形から決められたポイントの
分量・数値を抽出する事。次のクォンタイズはその数値を
データにする事、最後のコーディングは
これを”1”、”0”の羅列であるデータに置き換える事です。
これは、デジタルデータ通信などで良く使われる言葉なので
憶えておくと便利です。さて音楽主体なのでサンプリングの所に戻ります。
サンプルって街のディスプレイやショーウインドウに飾られた服とか、
見本って書いてある商品なんかを指すサンプルと同じ言葉です。
言葉自体は"見本"・"標本"の他に"抜き取る"とか"抽出する"という
意味がありますが、この場合はデータを"抽出する"
というのがイチバンぴったりかな。
そして、この抽出する単位時間を、表すのが
サンプリング周波数: Sampling Frequency で、
CDは一般的に 44.1KHz
つまり、1秒間に44.1×1000回、
データを抽出している事になります。
つまり、グラフの横軸の単位は0.0000226秒って事です。
MDやDATも一般的にはこれに合う様な周波数が使えますが、
DATでは48KHzなど、少し細かく抽出できるようにしたり、
MDでは半分くらいの細かさで録音して、データ量を
節約したりするケースもあります。
これで判る通り、CDプレイヤーの
DA変換器:D-A Converterは
1秒間に44100回変換を行なっているって事ですね。
そしてCDのディスクには収録時間(秒単位)×44100個のデータ
が記録されている事になります。
つまり50分のCDなら、50(分)×60(1分は60秒)×44100個...
132300000個のデータが記録されていて、
それを最後まで聞けばCDプレイヤーのDA変換器は、
132300000回のDA変換を行なう事になる訳です。
(計算合ってるかな!?...)
これくらい細かいと、当然音の細切れが人間の耳には
繋がっているように聞こえる訳で...
お気づきの方は鋭い...
つまり、CDとかMDなんていうデジタルの音響機器は、
"人間の耳を騙す"作業をしているのです。
当然、間のデータが所々抜けているんですから。
何を人聞きの悪い...って感じですが、
デジタルの音響技術はここにすべて根差しています。
さてまた前回の文章から引用させてください。
『音楽屋とか映像屋さん、あるいはコンピュータの世界で、
デジタルっていうとデータ が小さくて再現性に優れ、
送信・授信に労力がかからず、処理が簡単...色々と出てきます。
同様にアナログは、データのやりとりが複雑、時間がかかる、
処理が大変、ノイズなどの混入率が高い、再現性が低いっていう
後ろ向きなのもありますが、音響屋さんとか音楽屋、あるいは
デザインの世界などでもそうですが、人間的だとか、
ウォーム(Warm:暖かいって事)だ、(耳や心に)優しい、
とか細部の再現性にはアナログで無ければ駄目だなんていう声も
あったりして、まだまだ必要性があると認識されているようです。』
なんか、混乱してきたでしょう...
そうです、デジタルにもアナログにもそれぞれ良い所があり
また悪い所があるから、現状でも共存しているのです。
技術的にはアナログが無ければデジタルの技術は生まれなかっただろうし、
また現在のアナログ技術はデジタルがあってこそ価値が出てきたという、
微妙な接点も持っているのです。
でも、少し"連続的"、" 離散的"っていうのはわかってきたでしょ...
さて、このコラムの最大のテーマは
「技術と人間の感覚・知覚・情動などの接点をナントカして見出そう...」
そんな大袈裟な物ですが、要は皆さんが感じている技術の良い所や悪い所
を身近に感じていただいて、さらに使いこなしていただければ幸い...
という非常に簡単な分野に気持ちの殆どを置いています。
だからデジタルもアナログも、もし普段使っている言葉としての意味合いに、
今回疑問をもたれた方もいるかと思いますが、「言葉は生きている...
国語は進化している...」という観点からいって、修正する必要は無い
と思います。ただ、色々知ってしまうと知り合いに
「おめぇ、アナログな野郎だなぁ!」
なんていうのが、もしかしたら誉め言葉になっちゃうかもしれないって、
知っておいてください。
さてさて、今回の講義はこのくらいにして雑談に戻りましょう。
ご質問を頂いたんで、お答えしましょう。
ちなみに今回は、非技術系のお話ばっかりでした。
(少々ウップン溜まっているみたいで、過激モードに入ってますが、お許しを!)
Q.映画は好きですか?
A.えらい唐突な質問ですね...え〜っと好きです。
一番最近は「AI」みにいこうと思って結局タイミングが合わず、
何故か「パールハーバー」見ちゃいました。どうだったかって...
あんまり過激な事書きたくないから...パス...感想ねえ、
端的に言ってしまえば「お尻が痛かった」(だって長いんだもん!)。
私はいわゆる "あまのじゃく" なんで、例の「タイタニック」
(あれだけアカデミー取って、役者がひとりも賞取れなかったのはなぜ?
確かに「グッドウイルハンティング」良かったけどね。)
見た時も、「お尻が痛い」と、「あんなに壊すんなら俺に金くれ」しか、
言えなかった人なので、文句のある人には謝罪いたします。
今回も元々ウチのディレクターさんに「戦後50年が過ぎて太平洋戦争を
題材にしたアメリカの映画を、若いモンが喜んでみに行っておるのは
一体どう言う事じゃ!おまえ見て調べてこい!」(何で自分で行かん!?)
という指令を出された為に、「猿の...」が見たいのを我慢して
行ったのに...感想とか以前の問題だった様な気がします。
でもここまでケナせる映画もあまり無いので、そういう意味では見た後、
結構楽しんだかな。自分の家で終戦記念日近くに、戦争のドキュメントと
2時間ドラマの再放送を、チャンネルとっかえひっかえ
見てるみたいな感じですね。ああ、これ以上、恐くて書けない...
Q.サッカーのワールドカップについてどう思いますか?
A.って、一体どの部分をどう思うか...指定してよね!!
まあいいやっ...
自分は元々ラグビーの人なので、
(今年は日本代表より強いチームがあるから、冬のシーズン楽しみだね...)
詳しい事判りませんが、政治的には色々影響がありそうで、
まあ楽しみですね。
友達が言ってたけど、「世界中のトップサッカー選手が日本(韓国もネ)
に集まるなんて、信じられないくらい楽しみ!」って...
でも、裏を返せば「世界中のフーリガンがみんな日本(韓国もネ)
に集結するなんて、考えただけでゾクゾク!」、
あるいは「世界中のダフ屋が日本(韓国もネ)
に集結するなんて、素敵!」とかいうのもあったりして。(茶化しちゃイカン!)
ついでだから(少し過激に)ひとつ...
ウチで取っているスポーツ新聞のサッカーコラムにモノ書いている
そこの人..."ワールドカップより欧州チャンピオンズリーグの方が
間違いなく素晴らしい"とお書きですが、
なんかどこぞのBBSと新聞と勘違いしているみたいですね。
サッカーのジャーナリズムっていきなりここ7〜8年で成長したように
思われていますが、ヒドいのも沢山いて、注目をされはじめて間も無い
っていうのが原因かもしれ無いけど、勝った負けた...も裏側も、
皮一枚だけ剥いで知ったような顔しているのが、お金もらって批評や
コラム書いているのは辟易...サッカーに限らずラグビーだって、
野球だって、インサイドワークが見えてくると、まるで違うスポーツを
見ているみたいに興味が湧くんだけどな。
Q.年齢は一体幾つなんですか?
A.あっ、そろそろ紙面が足りなくなっちゃいました。
9月はアナログ・デジタルのさらに続きを...
(来月は2回更新できるかな?)
先月の電車の音CD好評なんで、アドレスをもう一度書いておきましょう。
(株式会社東急車輌製造さんが運営しています)
ではまた。 BBD
2001.08.25 (夏休み・花火中止で・ゴロ寝かな!...)
97%!ディレクター兼ドラマー兼コンポーザー兼雑用!!BBD
#比重で言うと、ディレクター<ドラマー<コンポーザー<雑用#
質問やご意見お待ちしております。
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